「岐阜の川人文化研究会」の方々と、益田(ました)の川に息づく漁労、魚食文化に光を当て、山・川・魚・人の結びつきを楽しく知る機会を定期的に提供しています。

下呂交流会館で、地域に根付いた漁労文化を紹介する特別な催しが開かれました。

長い歴史の中で受け継がれてきた「食」と「漁具」。

今回の展示では、実際に使われてきた道具や、地元ならではの食文化が紹介され、来場者は益田の暮らしと自然の恵みを身近に感じることができました。

展示の見どころ

  • 漁具の展示:竹を使った伝統的な魚捕りの道具や、地域特有の工夫が凝らされた漁具を実物で鑑賞できます。
  • 食文化の紹介:地元の食材を活かした料理や、その背景にある生活の知恵を学ぶことができます。

2日間50食限定!岩魚&寒ウグイの朴葉ずし

岩魚(いわな)&寒ウグイ、どちらも養殖で幼魚(稚魚)を使用、唐揚げにして独自の甘ダレを活かした朴葉ずし。

岩魚は、飛騨小坂の「鈴小坂」さんの養殖技術でもって餌付けから4カ月の稚魚。中々世には出回らない貴重な朴葉寿司です。

ウグイの養殖となると、これができるのは国内に数人、今回はいつもお世話になっている山形県産で、山形県人様に味付けまでの完成品にしていただきました。

今回のイベント、『ましたの伝統漁法・魚食文化講座・展示』にて、たったの二日間のみ特別販売されました。

魚皮拓(ぎょひたく)とは

魚皮拓は、釣った魚の皮そのものを丁寧に剥いで乾燥させ、台紙に貼り付けて額装する保存・鑑賞の技法です。魚の大きさや特徴を生体に近い状態で保存展示できます。

インクで写し取る魚拓(ぎょたく)とは異なり、実物の色艶や鱗の立ち方まで活かせるのが大きな魅力です。

魚の皮を剥ぎ、肉と脂肪分を除去し、これを自然乾燥させてミイラ状になったものに防虫、防腐加工を施す、そして形態を整え台紙に貼り付け、額に納めて展示する。

魚の躍動感をそのまま額に納めて展示、観賞することができるのが魚皮拓の魅力でもあります。

生魚の躍動感を余すところなく表現出来るよう、乾燥用台紙に下絵を画いて概ねレイアウトを施し、下絵に沿って魚皮拓を貼り付け、形状を整えて乾燥過程で変形しないようにピンで固定し、ミイラ状になるまで乾燥する。

魚の皮を剥いでも目玉だけは摘出できないので、義眼を嵌め込んで躍動感を表現しています。

日本では、ここ岐阜・飛騨金山町民が考案開発した世界で唯一の魚保存技法として紹介されています。

いっぷく図書図鑑センター(旧 菅田小学校の図書室)では、イベント時にこの魚皮拓の展示を行っています。魚の立体感、躍動感を間近で観察することができるとても貴重な展示です。

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2025年1月25日、吉田川で約40年ぶりに「うわな漁」が再現されました。

郡上八幡に伝わる「うわな漁」は、ウグイが冬を越す習性を利用した伝統的な漁法です。郡上八幡ならではの地形と生態に根ざした知恵が詰まった漁法です。

うわな漁とは

晩秋、魚が潜みやすい石組(「うわな掘り」)を川底に作り、真冬にそれを崩すことでウグイを捕まえます。

  • うわな(魚穴)掘り:浅く流れのある河床を掘り、直径約2m、深さ約1mほどの穴を掘り、その中に持ち運び可能な石を積む。藁むしろや波よけも設置。
  • 冬が来て石組にウグイが潜り込むことを待つ。
  • 石組を崩し、流れを強めてウグイをリンゴ箱や簾(すだれ)へ誘導し捕獲。

かつては一度に1000尾ほど獲れることもあったとされ、漁の成功には設置場所や魚の減少状況が影響するそうです。

寒ウグイ漁最後の実漁者、清水俊夫さん(大多釣具店店主)、地元の漁師さんらが再興に意欲を示していただいた姿は、伝統文化としての価値を感じさせます。

「岐阜の川人文化研究会」「いっぷく図書図鑑センター」が発起人となって実現できた、この漁法の復活によって、郡上八幡に関する地域文化や「寒ウグイ」の味への関心も高まり、「ウグイ行商」などのエピソードも語られるようになっています。

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郡上八幡ではかつて冬場のたんぱく源として「寒ウグイ」が重宝され、行商として地域内で売り歩かれていたという話も諸説あります。

実演学習や岐阜の郷土料理を楽しむイベントも定期的に開催され、知識だけでなく味覚としても体験できる機会を提供しています。

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寒ウグイ漁最後の実漁者、清水俊夫さん(大多釣具店店主)が保管する「うわな漁(魚穴漁)」の仕掛けが再現され、展示会を定期的に開催しています。

うわな漁で捕えた寒ウグイは魚蓋(うおぶた)に詰められ風呂敷包で郡上八幡の街中を売り歩いたというウグイ行商の世界も紹介しています。「うわな漁」、「ウグイ行商」、ウグイという魚が鮎、アマゴ以上に生活のなりわいに深く関わっているいることにも参加者の方々からも関心が寄せられています。

光りの当たらない漁具魚食の世界、掘り起こして継承してこそ伝統漁法かと考え、開催しています。

これらの催しは、単なる展示ではなく、地域文化を味わい、暮らしの知恵に触れられる貴重な機会です。
観光で訪れる方はもちろん、地元の方にとっても、自分たちのルーツを再確認できる内容となっています。


『岐阜の川人文化研究会』の一環で、県内小学校の総合学習、岐阜大学 応用生物科学部「地域資源学」のゲストスピーカーとして、学校教育の場でも伝統漁法魚食文化についての講義を行っています。

下呂市立萩原小学校

<昔の魚とり・昔と今の味に違いはあるか・昔からの食べ方は・昔と今の川の違い・川はどこから来ているか・川と魚に関する仕事は・川と魚は人を幸せにするか>など、下呂市立萩原小学校3年生からの興味深い質問もたくさん出てきました。

馬瀬川、菅田川で捕えたばかりの生きたアカザ、アジメドジョウ、ヨシノボリ、アブラハヤの展示、27mの張り網をくぐりパニック鮎となった感覚で絡まる体感、長さ7m20㎝・重さ約1㎏の三河竿と長さ7m20㎝・重さ300gのカーボン竿を手にしての友釣り体感、ミミズとがい虫の針刺し体験、岩魚とシマヘビの模擬格闘などの展開で児童も興奮状態でした。

「今日は月に一度のふるさと給食の日です」となって、児童と一緒に給食をいただくことに。

そのメニューの一つに「アマゴのレモン煮」が。今日の総合学習の内容にもなったアマゴの養殖で、飛騨小坂で育てられていて、頭からシッポまで全部食べられます。そのほか下呂市産トマト、麦ごはん、豆腐、切干大根、しめじ。児童たちも満足顔楽し顔での給食、その食事中も川と魚に質問が飛んできて有意義な時間を過ごしました。

岐阜大学 応用生物科学部

応用生物科学部「地域資源学」のゲストスピーカーとして90分講義。テーマは「昔の魚とり・川魚の味」。

↑ミミズとがい虫の針刺し体験。

↑熱心に書いてくれた講義感想レポート。

魚皮拓の展示、概要説明。

📌 まとめ
「漁労文化」をテーマにした展示と講座は、自然と共に生きる知恵と食の豊かさを実感できる絶好のチャンスです。伝統を体験しながら、地域の魅力を味わってみませんか?

次回の開催は決定次第、ブログやインスタグラムでお知らせします📢

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